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メロスは激怒した、から始まる
太宰治の「走れメロス」

小学生の頃から本の虫だった私は、
毎日毎日図書館に入り浸り、本を読みながら帰った。
歩きスマホならぬ、歩き読書。ダメなやつね。
実際、溝にハマってしまった思い出もあったような。

「走れメロス」の始まりは唐突で、
唐突に、メロスが激怒したわけではないと思うけれど、
母の場合はまさに、唐突…突然激怒することが多かった。

その理由は、とても小さなことで
食事のあとに、すぐ片付けなかったとか
家事を率先して手伝わなかったとか
ありがとうを言わなかったとか

突然、噴火する。
どちらかというと、ホワンとした表情の母が
突然、鬼の形相になる。

しまった…と思っても遅い。
一度噴火すると、止まらないマグマが流れ出し
私や姉を飲み込んで焦がしていく。

噴火している間は、
どんなに泣いても謝っても無理なので
数時間だったり数日かけて鎮火していくのを
眺めているしかない。

…と思っていたのは、私だけで
姉は、そんな母の理不尽な怒りにぶつかっていった。
そしてふたりの口喧嘩が始まり、

最後には
「出て行きなさい!」「そっちが出て行け!」
私が間に入って「もうふたりともやめて」
「もうおしまい!」と言いながら泣いていると
仕方ないといったふうに二人が離れる。終了。

早々に、母の噴火→鎮火をマスターした私は、
姉のこういう正直な行動が嫌だった。
私をかばう言動でも、やめてほしかった。
余計なこと言わなければ、落ち着くのを知っていたし、
一言言うだけで、鎮火がどんどん遅れるだけでなく、
報復措置がとられるから。

そう。例えば、給食費のお金をもらえなかったり
家にある食品を食べてはいけなかったり
当時、流行りだった友達の誕生日会に持っていく
プレゼントを買うお金をもらえなかったり

小学生の私にとっては、
母の怒りよりも、学校で楽しく過ごす時間や
友達の誕生日会のほうが重要だったから
何も言わずにしてもらえるほうを選びたかったのに。

正直な姉は、よく
「お姉ちゃんって損だ!」
「やあちゃんはずるい。可愛がられてる」
と私に言った。
当時の私は、本当に不思議だった。
おとなしくしていたら鎮火していくのに
お姉ちゃんはなぜわざわざ喧嘩するんだろう、と。
損だと思うならやめておけばいいのに、と。


そうした考えの違いから
姉との間にじわじわと溝ができ、川になり、海となり
母の病気から逝去までの出来事で、
感覚も意識も遠く離れてしまった。
今も会えないまま。

今なら、わかる。
当時の姉にとって、当時の私は
わけのわからない嫌な存在だったと思う。
まるで、母の味方のようにも見えて
さみしかったに違いない。

でも違う。さみしかったのはお姉ちゃんだけじゃない。
私もさみしかった。
でも誰よりさみしかったのは、母だった。

今なら、わかる。


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